三菱UFJ国際投信がeMAXIS Slimシリーズを発表。業界最安水準のコストを目指し続けるインデックスファンド

2017年2月12日投資・資産運用

三菱UFJ国際投信が新ファンドシリーズ『eMAXIS Slim』を発表し、以下4ファンドが新規に誕生いたしました。

 

  • eMAXIS Slim 国内株式インデックス (信託報酬 年0.18%税抜)
  • eMAXIS Slim 国内債権インデックス (信託報酬 年0.14%税抜)
  • eMAXIS Slim 先進国株式インデックス (信託報酬 年0.20%税抜)
  • eMAXIS Slim 先進国債権インデックス (信託報酬 年0.17%税抜)

詳細は2017年2月10日付 三菱UFJ国際投信 プレスリリースをご参照ください。

業界最安の水準を目指し続けるインデックスファンド

『eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)』は、他社類似ファンドの運用コスト(注)に注意を払い、機動的に信託報酬を引き下げることによって、今も、そしてこれからも業界最低水準※を目指し続けるインデックスファンドです。

できるだけ低コストの投信を購入したいというお客さまからの強いご要望にお応えし、販売会社とのコラボにより誕生しました。

2017年2月10日付 三菱UFJ国際投信 プレスリリース

同じようなファンドがコストを下げたら、それに追随する形でコストの引き下げを"目指す"方針のファンドと宣言しています。この点はかなり特徴的ですね。

常に業界最安のコスト水準を目指し続けるインデックスファンドということになります。

販売会社

  • SBI証券
  • 楽天証券
  • マネックス証券
  • カブドットコム証券

上記4証券会社で取り扱い。カブドットコム証券はMUFJ系なので当然取り扱いがありますね。

マザーファンドは従来のeMAXISと同じファンド

ファミリーファンドで運用されるようですが、マザーファンドは従来のeMAXISのものと同じファンドとなっていました。

その意味ではマザーファンドの純資産が大きい為、Slimを購入するユーザーには安心材料。

一方で、昔からeMAXISをずっと支えてきたユーザーにとっては納得したがい方針ではないでしょうか。

eMAXISの規模を考えると、既存のeMAXISの信託報酬を一気に引き下げることは難しかったのかもしれませんが…(利益の減少、各販売会社の反発等)。

 

期待はできるが一重に大喜びはできない

全体としては嬉しい発表です。

しかし、私的には、大きく以下3点が一重に喜べないポイントです。

  • 既存eMAXISシリーズのコスト引き下げという形をとらなかった
  • 他社がコスト引き下げを行うインセンティブを失った(自主的に引き下げはしなさそう)
  • 主要4資産のみの発表

既存eMAXISシリーズのコスト引き下げという形をとらなかった

まず一点目。

色々と事情はあるのでしょうが、既存のeMAXISユーザーを蔑ろにしていますよね。

既存のeMAXISの信託報酬はなるべく維持したい。しかし、コスト競争により他のファンドに流れたユーザーも新規顧客として獲得したい。

結局のところ、そういう設定となっているわけです。

既にコスト競争が起きているのにまだeMAXISを保有している人というのは、スイッチングコストを考えて売ってない人が多いのではないでしょうか。どれだけ利益を出しているかにもよりますが、売却時に税金が20%召し取られるせいでファンドの乗り換えができない人がいるわけです。

私はeMAXISを保有していませんが、保有してたら納得しがたい方針ですね。

既存eMAXISのコストダウンの時も、なんとも残念な"受益者還元型"信託報酬率の導入でしたので、新ファンドを作りでもしないと実現できなかったのでしょうね。

だとしたらeMAXISブランドじゃなくて新ファンドとして出して欲しいですよね。。企業側にとっては合理的なやり方だと思いますが、買い手側から見るとやり方が誠実じゃないと感じてしまいます。

 

他社がコスト引き下げを行うインセンティブを失った

2点目。

コスト対抗しますとあらかじめ宣言している会社がある。

そこのファンドは純資産規模も高い。

そんな中で他社はコストを下げようと思うでしょうか。

 

実質的にカルテルのような状態に陥る懸念が強いです。

それは、この方針が、「僕からは下げないけど他社が下げたなら仕方ないから下げます」的なものだからですね。根本思想が売り手中心なので「僕からは下げない」気配をどことなく感じてしまうのが。。

米国のVanguard等と比べちゃうとどうしてもね… 組織構造からして違うのだと思いますのでそこらへんは仕方ないかもしれませんが。

業界のリーディングカンパニーが取る方針ではないと思うのですけどねぇ。日本では業界3位ということでリーディングカンパニーじゃないかもしれませんが… 銀行系運用会社1位だし。。正直、三菱の矜持をもって自ら率いていって欲しかったな。。。

とはいえ、投資家からみれば下がること自体はウェルカム。

主要4資産のみの発表

既にコスト競争が起きているところのみです。後発ファンドに期待するところはそこじゃないですよね…(;´∀`)

顧客が逃げていってしまった(逃げていきそう)なアセットクラスであり、規模の大きいところのみの発表です。

 

やはり、先陣を切るつもりはないんだな… という印象をどうしてもうけてしまう。

投資家利益を最も考えているインデックスファンドはどれか

とはいえ、常に最安水準を保つと宣言している以上、投資家にとっては魅力的なファンドであることは間違いありません。

マザーファンドを考えても優秀なファンドとなるでしょうね。

 

ただね… 私は、先陣を切る意欲のあるファンドを買いたいなぁ。

だから今投資しているファンドを継続しますが、このような発表がなされた中、各社がどう動くか(はたまた動かないか??)。

投資家利益の優先を最も考えていそうなファンド(運用会社)はどこか。各社の動きをみつつ見定めていきたいですね。