書評『世界第3位のヘッジファンドマネージャーに日本の庶民でもできるお金の増やし方を訊いてみた。』

資産運用

資産運用に関する書籍が先日(17年10月06日)新しく発売されましたので読んでみました。
(私は現在海外におりますので電子書籍で購入できるものしか読めません…笑)

現役のファンドマネージャーが、実際の銘柄も含めてかなり具体的な運用方法を提示している本。世の中に出ている資産運用本のほとんどが、運用を専門としていない人(FP、元銀行員、証券マン、経済評論家等)によって書かれている為、本書を書こうと思ったそうです。

著者の主張を私なりに要約すると、景気循環に合わせて動的にアセットアロケーション(購入するアセットクラス)を変えよというものです。

  • 伝統四資産80%(日本株20、外国株20、国内債券20、外国債券20)
  • 代替投資資産20%(国内リート、金、VIX)

の資産クラスをまず購入。それ以降は、景気循環に応じて追加購入する資産クラスを変えていくということ。

このような景気の時にはコレをこのように買えと具体的に提示しています。肝心の景気判断の方法についても記載されている上、著者サイトにも定期的に景気の状態がアップされています。初心者でも実際に真似ができることを重視した内容となっています。
※ただし本書で推薦されている『1581 iシェアーズ 先進国株ETF-JDR(MSCIコクサイ)』は東証上場廃止予定なので注意です。

アセットにVIXを組み入れているのがファンドマネージャーらしい仕掛け。VIXは基本的に右肩下がりのトレンドを描く指標である為、注意を要する指標ですが、こういう仕掛けを入れておくとリーマンショック級の暴落が起きた際に早く立ち直ることができます。

特に、①インデックス派の方のブログや書籍の影響を受けている(そういった投資法しか読んだことのない)人 ②景気循環論(景気循環の4局面)を知らない人 には一読の価値がある書籍かもしれません。インデックス派の方たちがしばしば主張している内容に対して批判的な記載が見られる為、比較すると勉強になると思います。

例えば、本書では「ほったらかし投資ではうまくいかない」と謳った説がございまして以下のような記載があります。

決められた投資対象に、ドルコスト平均法だからと単に積み立て投資をしていれば儲かるかというと、私はそうではないと考えています。そういった投資方法を推奨する人たちは、少なくともプロの運用者ではありません。

リーマンショックのような経済危機も含めて先はわからないし、そのような世界の不確実性を回避して、タイミングを見て投資していくことを放棄するよう促しているだけです。

(中略)

プロからすれば本当に憤りを感じます

このように、”巷で言われている運用法”について所々でチクリとさしています。…まぁ、ウォール街のランダム・ウォーカー ― 株式投資の不滅の真理にも記載されていますが、投資の手法については色々な主張が対立し合うものですね。こういった伝統的な書籍に比べると、著者の主張しているアロケーション配分や資産クラスの有効性に対する根拠説明が薄い点は残念な点かな。

個人的に面白かったのは最後の「最も簡単なお金の増やし方を教えてください」の章。マイナス金利を利用した儲けの戦略が1つ紹介されていました。「え、そんなに具体的に書くの?」と驚くくらい具体的に紹介されてます笑

本書は戦略が具体的に記載されすぎているので、引用や内容紹介が難しいところがありますが、現在出回っている資産運用の書籍とは又違った戦略が紹介されている面白い書籍でした。

ちなみに、マイナス金利といえば、先日(17年8月)発売された以下の本もとてもお勧めです。別著者の本ですが。

同著者の20歳からの金融入門という本が良書だったので著者買いしたのですが、この金利の本もなかなかの良い本でした。発売から2ヶ月ほど経っているのにAmazonレビューがついていないのが不思議でならない。マーケットの状況を捉える上で、”金利”というのは極めて重要なファクターなので、金利を理解しておくというのは大事と私は思っています。(そういえば20歳からの金融入門はかなり基礎的な内容ではありますが、景気循環に関する記載がありますので、基本的な金融知識がない人はこちらも読んでみると良いかも?)